ボクとキミは廃校の中にスケッチブックとクロワッサンとコーヒーを持って忍び込んだ。
屋上に出たかったけど、鍵がかかっていたので諦めて階段の一番てっぺんに並んで腰掛けた。
キミはコーヒーを飲みながらクロワッサンを食べた。
ボクは食べずにキミをスケッチした。
キミはコーヒーの入った紙コップをくわえて、汚れた床に食べかけのクロワッサンを無造作に置いた。
そして、ペンを取り出して同じ様にボクをスケッチした。
その絵はすぐに完成して、キミは床のクロワッサンを拾って、また続きを食べ出した。
ボクは随分時間をかけてキミの絵を仕上げた。
ボクの絵が出来上がる頃、キミは居眠りを始めていた。
ボクは居眠りしているキミを見ながらクロワッサンをこぼさない様に食べ、冷めたコーヒーを飲んだ。
キミのやる事は、同じ事をしていてもボクとはまるきり違う。
ボクはキミに憧れる。