近頃、部屋に閉じこもって仕事を続けていたので、私は無性に散歩がしたくなった。
しかし外は大雨。
躊躇したが、やはり私は出掛ける事にした。
傘をさしてタバコを買うための小銭だけを持って出た。
案の定、タバコの販売機の前に着く頃には、私のズボンの裾は雨水でビショビショになっていた。
傘の柄を肩に乗せてポケットの小銭を探ったが、あるはずの小銭が指にあたらない。
ポケットを裏返してみると、大きな穴が空いていた。
タバコは諦めるより他なかった。
少しげんなりして公園の横を通りかかると、バカな小学生達が大騒ぎでサッカーに興じている。
私は濡れたベンチに座ってバカな小学生達を暫く眺めた。
何故か彼らはボールを蹴る瞬間に「ケック!」と雄叫んではゲラゲラと笑っている。
ルールは無い様子で、ただ「ケック」を繰り返す事が楽しくて仕方ないらしい。
本当にバカな小学生達だ。
結局、私は彼らが公園を去るまで「ケック」を眺め続けた。
私は「ケック…ケック」と呟きながら帰路についた。
そう言えば、私はタバコを3日前に止めたのであった…。