娘、「会って欲しい人がいるの」
父、「無理」
娘、(少し笑いながら)「どうしても会って欲しいの」
父、「あの商社勤めの色白で筋肉のないヤサ男のアキラか」
娘、(驚いた様子で)「どうして知ってるの?」
父、「ワシは何でも知っている」
娘、「なら話は早いわね。彼がお父さんに会ってご挨拶がしたいと言うの」
父、「残念ながらワシは奴に会いたくありませんし、ご挨拶して欲しくありましぇ〜ん」
娘、「…」
父、「知ってるか?奴の部屋の南側の窓のカーテンは黒カビだらけだぞ」
娘、「どうしてお父さんがそんなこと知ってるの?おかしいじゃない」
父、「お前の帰りが近頃あんまり遅いから探偵を雇ったのだ」
娘、「最低!」
父、「最低で結構なのだ。知ってるか?奴は色白で美しい男だが筋肉質でないからすぐに肥満するぞ」
娘、「なに訳の分からない事言ってるの?私は別に彼の見た目なんて気にしてないし、たとえ太ったって彼は彼。」
父、「ああいうタイプは太って年取るとオバさんみたいなオジさんになるぞ」
娘、「愛してるの!」
父、「ウッ、愛してるだとっ!」
娘、「愛してるわ!」
父、「何でも軽肥満の人間の方が長生きするらしいぞ。気をつけた方がいい。奴は長生きするぞ」
娘、「結構な話じゃない。意味分かんない」
父、「意味分かんないだと!おまえ奴にのぼせて日本語も分からなくなったのか!!」
娘、「…」
父、「村田雄浩って俳優しってるか?」
娘、「知らないわ」
父、「彼はいい」
娘、「…」
父、「あんなエリートヤサ男はやめて村田雄浩みたいな顔にも筋肉を感じる相手を捜しなさい」
娘、「意味不明」
父、「だいたいあんな出来過ぎた人間はおかしい。絶対何かあるはずじゃ…」
父、(暫し考えて)「奴は脱糞しながら鼻を掘って、放尿してから、おまけに放屁もするぞ」
娘、「…」(あきれ顔)
父、「きっとしてるに違いない!卑劣な男だ!!」
(ピンポ〜ンと呼鈴が鳴る)
娘、「来たわ」
父、「何だと!騙し打ちか!!」
娘、「観念して会って頂戴」
父、「嫌だ〜!絶対に嫌だ〜!!」
(90分後)
父、「なかなか良い青年だな」
娘、「でしょ」
父、「筋肉質ではないが、目元が村田雄浩に似ている気がした」
娘、「そうかしら」(苦笑い)
父、「うん。似ておる…父さんは村田雄浩が好きなんだよ。ハッハッハッハッハッ!」