周作先生


彼の特徴は屁を放る事にある。


その特徴を利用して彼は尊敬する周作先生のもと、音階を放れるようのまで成長したのであった。


物憂いその響きは、水戸の紋所から放たれていると思わなければ格別に素晴らしいものであった。


いま彼は厠で交響曲第5番を放っている。


その素晴らしい音色と正確なピッチにうっとりと目を閉じて聴き入る周作の姿があった。


奥方がお茶を立ててそっと周作に差し出す。


ハッ!と我に返った周作は奥方に「彼奴が此所を去る日がきたな…」ときっぱりと告げた。


周作はスックと立ち上がり厠の方へと向かった。


そして厠の扉越しに大声で言い放つのでありました。


「免許皆伝!か〜わってっ!!」


そのとき周作の紋所は、もはや限界状態であった。


しかし、弟子をおもんばかるあまりに、その時期を逸してしまったようである。


雨の中、番傘をさし、よろめきながらジーン・ケリー宜しく踊る周作の姿があります。


そうでもしないとやりきれないのでしょう。


六十を過ぎて漏らしたとあっては…。